タイ人と日本人

其の一

 タイに旅行で来られた方は、かなり居られると思います。ただ 、短期の旅行だとその国に暮らす人々の事があまり分からないのではないかと思い ます。私はこちらに来る前にタイに関する本を読んだりしていたので、あまり驚くこ とはなかったのですが、日本とは少し違うなということを書いていきたいと思います 。もちろん私の感じたことを書くので、考え方が偏ってしまうと思います。

 タイの人は、概ね計算の苦手な方が多いですね。ちょっとした計算でも計算機(電卓) を使います。スーパーなどで買い物するときはあまり問題にならないんですが、レスト ランや屋台で食事したときは、気をつけないと計算が違っていることがあります。レス トランでは、個々の値段が間違っていることや、合計が間違っていることがたまにあり ますが、それを知っていても訂正しないのもタイの人です。安くなるか高くなるかは、 そのときの運ですが、みんなきちんとやったつもりで少し間違っているわけですからあ まり気にしないのでしょう。私も、極端に違っている場合を除いて細かいことは言わな いので、いちいち一つ一つ値段を確認して計算を自分でするということはしません(ある 、日本人の方は毎回チェックしていましたが、その人は特別なのでしょう)。屋台の場合 は、食べ終わったあとに器の数を見て値段を言うので、まず間違えることはありません。 それに住んでいると、だいたいの値段が分かってくるので、間違っているとすぐにこちら でも分かります。

 先ほどは、値段のことを書きましたが一番問題なのはお釣りです。これは信じられない ほど間違えます。今は、このおばさんは間違えそうだからぴったり払おうとか、ここはレ ジを使うからお釣りをもらうようにしても大丈夫だとか、必ず考える癖がつきました。私 から言わせると、お釣りに興味がないんじゃないかと思うくらい買う ほうと売るほうで何の疑問もなく間違えます。120バーツのものを買ったとき、500バーツ を出して380バーツのお釣りをもらいますよね。ところが、これが280になったり420になっ たりとホント不思議なくらい違ったお釣りが来ます。まだこの程度ならすぐにお互い気が つくのでいいんですが、152のものを買うのに502を渡したとしますよね。するとたいてい 向こうは混乱して、計算機を使います。頭で計算したときは、まず間違っていると思った 方がいいでしょう。特に、年配の方がよく間違えるのですが、若い方でもたまに間違えま すので日本人の多くの方は疲れると思います。

 タイの方が、お金に無頓着だとかお金を大切にしないとかそういうことはまったくない と思いますし、たまたまお金について今回書いてしまいましたが、実際私が思っていること は、全てに於いて子供っぽいと感じます。見た目は同じ大人ですが、考え方や行動がどこ となく子供を相手にしているような気がします。ただ、逆にいうと気持ちを第一に考え て、ほかのことはあまり重く考えないともとれます。例えば、家族の誰かが怪我をして、た いしたことのない怪我でも会社を休みます。その結果会社を首になっても、誰もが会社が 悪く会社を休んだ人が正しいと考えます。とても私には理解できないのですが、これがタ イ人なのです。これは、実際タイの友人の話なので本当の話です。 もし日本で子供が怪我をして検査の結果特に問題がないとしますよね。その場合 、普通でしたら通院という形にしますが、タイの場合は保険が使えるなら即入院します (私立の病院は、一般に個室でホテルと変わりません)。そして、ここからは人によると 思いますが、会社を休んで付き添うというのが一般的なようです。もし、重病ならもちろ んですが、3~4日で完治するのにです。私には、どうしても理解できません。日本のシス テムが歪んでいてタイの方が人間として普通なのか、あるいは逆なのか、考えても私には 答えが出せません。 ただ、タイの(特に田舎に住んでいる人)はそういう風に行動をするということを理解し て、逆に私にもそういうことが周りから求められるという事を理解するので精一杯です。

其の二

 タイに住む日本人同士の会話の中で、「タイ人化」と言う言葉があります。これは、タイに長く暮らしていると、日本の感覚からタイの感覚のほうに近くなってきてしまうことを言います。日本人とタイ人の違いで決定的なことはずばり時間だと思います。日本では、電車やバスその他の交通機関でもだいたい分刻みで動いています。タイでは、10分刻みぐらいで考えたほうがいいです。例えば、9時発のバスに乗る場合は8時50分までに行きます。と言うのは概ね人が集まると、10分くらい早くても出発することがあるからです。逆に人が集まらないと10分くらいは遅れます。まだこれくらいならどうということはないんですが、仕事でも同じようになってしまうので困ります。日本では約束の日や時間を守ると言うのは当たり前のことですが、タイでは当然遅れます。タイのスタッフは、「もちろん間に合う」「できます」と答えますが、まずできません。1年ほどタイで仕事をしていて約束の時間までにできたことは1度もなっかったように記憶しています。私の指示の仕方が悪いのかもしれませんが、他の日本人と話しても似たようなものです。ですから、最初からその分を見込んで指示をします。例えば、1週間後が期日だとすると、タイのスタッフには6日後が期日だと伝えます。そうすると、チェックできる程度のものが6日後にできますので、あと1日使って修正仕上げをするような感じです。慣れるまでは非常に疲れますが、それに慣れると多少面倒なだけで、そうでもなくなります。
 このようにタイ人仕事をするには慣れるまで少し面倒ですが、慣れてしまえばどうということはないんですが、タイに住む日本人のなかには少し厄介な人がいます。具体的には書きませんが、自分のミスをタイ人のせいにしたり他の日本人のせいにしたりする人です。このような人は日本でも多少は居ます。タイのほうに仕事を流して何らかのトラブルがあるとすぐあそこはタイだから駄目なんだとかいう方です。「タイ人化」という言葉は、結局そういう言い訳をするときに言う言葉の一つなのかもしれません。
 時間にルーズだけど、その分のんびりとしているタイと、時間に正確できちんとしている日本、どちらもそれなりに魅力があることだと思います。そういった環境で育つと(ほんの一部の人ですが)、いい加減な言い訳をするタイ人と、人のせいにする日本人、育つ環境が違うといろいろ変わってきますね。

其の三

 私が、タイに住む理由のなかに人がいいということがあります。具体的に日本人と比べてどこがいいどこが悪いということはないんです。たぶん自由気ままなところが好きなんだと思います。日本だと「常識では」とか「普通は」なんて言葉に縛られて自分本来のしたいことが非常に難しくなっています。まあ、そんなこと気にせずにやってもいいのですが、成功すれば結果良しでいいのですが、失敗した場合助けてくれる人も少なく、周りからいろいろ言われたりすることでしょう。タイでももちろんそういうことはありますが、あくまでも人それぞれというところがあって、陰口を言う程度でたいしたこともなく、何らかの助けがほしい場合は、たいてい助けてくれます。そういうところは、おそらくアジアを除く他の国々でも似たようなものだと思います(よくは知りませんが、いくつかのアジアの国では互いの足を引っ張り合うようなことがあるように聞いたことがあります)。ただ、私もアジアの人間ですので、他の地域に住む気にはなれず、たまたまタイに最初に旅行に行って風邪を引いたため何度も行くようになっただけですので。あの時、タイの物価が安くなかったら他の国に行っていた事でしょうし、あの時風邪をひかなければ、ある程度観光ができたので、もう一度タイに来るということもなかったのかもしれません。
 結果的には、タイに何度か足を運び好きになっていった訳です。タイ人と日本人で本当に何が違うのかはっきり言うのは難しいと思いますが、簡単に表現するといやなことはやりたくない子供っぽいタイ人と、いやなことでも我慢してする大人の日本人というところでしょうか。ただ、私はそのような日本人よりもタイ人のほうが正直に思えて好きなんでしょう。

どうして?彼女の質問

其の一

 こちらに来てから、彼女といくつかすれ違いのようなことがあ りました。そのひとつに気持ちを重視する彼女と、商売なんだからと割り切る私の考 えの違いがありました。彼女は、物を買うときに常に相手の気持ちを考えて買い物を ているようです。もしここで値切ったら、この人はきっとがっかりするとか気分が悪 くなるとか、そんなことを考えているようです。ですから、何で値切るのと聞かれた りすることがあります(もちろん値段の表示のないもので、大きな買い物のときだけですが)。 また、私が保険に入るときなども、 保険の人が何度も間違った見積書をもってくるので、あまり何度も来て貰うと悪いか ら、もう保険に入ってしまおうなどというのです。自分が必要としていないもがあっ たり必要としているものが抜けたりしているのにです。さすがにこのときは、向こうも仕事 でやっているんだから自分たちを第一に考えろと怒りました。最近は、少し私の考えも わかってきてくれたようですが、今でも基本は変わらないようです。私の考え方は、 悪い言い方をすれば利己的ですが、日本では一般的のような気がします。タイでは、き っと周りの人を大切にするというのが一般的なんでしょう。この前、私が車を買った 営業マンは、値段を安くできない代わりにアフターサービスをすると言っていましたが 、やはり「うそ」でそれきりです。足りない部品をなかなか持ってこないので、一度電話 で怒鳴ったらすぐにもってきました。タイ人は幅があると思いました。

其の二

 妻は日本に何度か来て、半年ほど住んだこともあります。その彼女がいまだに勘違いしていたことは、日本人全ての人が、機械やコンピュータを自由に使えると思っていることです。確かにタイに比べると様々な電化製品があり、日常使っていますが、ビデオ等の録画ひとつにしてもできない人が多く居ます。ところが、日本に対するイメージというのは違うようで、ほとんどの人が使いこなしているように思っているんです。みんなが使いこなしているわけではないと言うと、「なぜ、そんなに技術が高い国でこんなにいろいろな電化製品があるのに使えないのか」と当然聞かれるのですが、人によって興味がなかったり一部の機能が使えればそれでいいのではないかと答えるのですが、なんとなく納得いかないようです。タイでは電化製品が日本と同程度の値段で売られています。でも収入はだいたい4分の1程度ですから、いかに電化製品が高いかわかると思います。ですので、そのように高いものを買ってなぜ少ししか使わないのか不思議に思うのでしょう。

素人の集団

其の一

 素人の定義というものが、地域や国により違うので、なんとも言えないんですが、私から見るとタイの方たちはだいぶ楽して給料をもらっているように見えます。もちろん非常に安いのでその程度でいいのかもしれません。

 日本では、最低生活ができるほどの金額というものをほとんどの方が貰っていると思いますが、タイでは能力給といったほうがいいと思います。もちろん家柄や身近に力のある方が居る場合は別ですが。具体的に言うと、一流の企業で、部下が数人居る40前後の中堅の人でおそらく3万B前後です。日本円では9万円前後になります。物価が安いのでそれでも十分に生活ができると思うでしょうが、実際にはほとんど余裕はないです。日本の感覚に直すとだいたい9万円を3倍にした27万円くらいのになります。日本で40歳で一流企業に勤めていて年収が400万前後ということはまずないでしょう。タイでは稀な人でこの程度です。少ない人は1万B程度です。大卒の初任給が8千Bから1万2千B程度の給料です。

 給料の少なさというのが、転職を促しているようにも感じます。こちらでは、転職により給料を上げていくのが一般です。転職をするというのは、ある程度仕事を覚えると次の職場へ移っていってしまいます。このことが、私から見るとプロといえない程度の人たちを大量に生み出している原因の1つだと思います。

其の二

 世界の中で、日本という国はもしかしたらすごく変わった国なのかもしれないと思うようになりました。最近、自然による災害が世界各地で起こっています。 もちろんすべての国や人がという訳ではないんですが、災害があった後に暴動や盗難、他人を助けない自分優先の映像をよく見ます。日本では、歴史を振り返っても、人や思想が原因の暴動というのは多くありますが、自然災害によるものはそれほどないはずです。どちらかというと、静かにお互い助け合うというのが一般です。これは、どこかに仲間意識というものがあるのだと思います。この仲間意識というものが、お互いを助け合い社会を大きくし様々なアイデア・技術を生み出してきたのかもしれません。ところが、タイでは多くの民族、違った宗教、さらに多くの外人が居ますので、足を引っ張らないまでも協力するということはあまりないようです。また、新しい技術を習得するために海外へ研修に行っても、それを自分だけのものにしてしまうということも聞いたことがあります。つまり、技術を習得してもほかの人に教えることがないようです。こういったことも、プロになれない人たちを作る原因の1つですね。

チェンマイに住み着く理由

 実際は住んでいるわけでもないので、このタイトルはおかしいのですが、できれば住もうと思っています。ただ、本当に住み着くにはボケてからでもいいかなと思います。
  チェンマイは、夏は暑いですが我慢できないほどでもなく、冬ももう少し涼しければと思う程度です。生活で必要なものもほとんどそろいますし、車があれば移動もそれほど大変ではありません。ある程度外人がいますので、タイ語ができなくても困ることはまずないでしょう(かなり不便ではありますが)。簡単に説明するといいところはあまりないのですが、悪いところもあまりないんです。私の場合、ほとんど他の国に行ったことがないので他に行けばもっといいところがあるかもしれません。ただ、想像しても黒人が多くいる国、白人が多くいる国は、一時的に住むのはいいけど、住み着くのは無理だなーと思いますし、旅行でいくつか行ったアジアの国の中では、タイは私にとってほとんど生まれ育った町と変わりなく感じるようになっています。
 それに人がいいです。もちろん日本より事件は多いし安全とはいえません。子供っぽいと言えばいいのでしょうか、素直な人が非常に多いと思います。特にチェンマイあたりは首都のバンコクに比べて擦れた人が少ないのでとてもいいです。たぶん私にとっては、人が全てなんでしょう。人がよければ全てよしみたいな感じで他の事はあまり重要ではないんでしょう。

車とバイク

其の一

 日本と他の国を比較すると、日本は車が異常に安い国のようです。ただ、維持するための税金やガソリンは異常に高いですが。タイでは、税金が30%から50%くらいとられるようで日本で100万円くらいで買える乗用車が150万円くらいします(ピックアップに関しては税金が安いので日本より少し高いくらいです)。需要も多く中古も日本の倍くらいの金額で取引されています。

 よく、周りから、日本から車をもって行けばいいのにと言われますが、税金で100%程度取られるので、50万の車だとすると50万の税金に運搬費がかかります。そう考えると、タイで買ったほうが安くなります。また、部品として輸入するとだいぶ税金が安くなるので、日本でばらしてタイで組み立ててまで輸入する人も居るようです。いずれにしても、輸入というのは面倒なようです。

 ところで、5年ほど乗っているボロイ軽の乗用車があるのですが、(軽といってもエンジンは850CCありますので、結構走ります)買った当時からとりあえず子供が生まれるので、町中で使えればいいという感じで買ったものですが、いまだにがんばっています。というのも、こちらでは修理費が異常に安いので気軽に修理できるからです。実際、エンジンのマウント、ハブベアリング、アーム、コンプレッサー、ミッション、ジェネレーター・・・等交換していますが、たぶん全部で10万円くらいです。5年間で10万ですからかなりかかってることはかかってるんですが、日本でしたら、中古車が買えるくらいの値段になってしまうかと思います。こんなボロイ車でも中古で当時30万円しましたから、いかにタイの車の値段が高いか分かると思います。

其の二

 学生時代のころから、バイクに乗っていました。当時は、レーサーレプリカとネイキッドタイプのものが主流で、私は、SPADA・90’ZXR400・92’NSR250と乗ってきましたが、こちらではほとんどがカブをスクーターにしたようなものがほとんどでした。タイの法律でバイクの排気量は150ccと決まっているので、それ以上のものは輸入となります。150ccでもNSRなんかがあったので欲しかったのですが、妻の反対と金銭的な余裕のなさからあきらめました。いずれにしても、こちらの道路事情は悪く、日本と同じ感覚ではとても走れないので、オフロードタイプのもののほうがあっているのかもしれません。こちらで、驚くことは3人乗り4人乗りが当たり前で、中学生が当然のように運転していることです。ですので、怪我や事故は結構多いです。死亡事故はそれほどでもないですが、ほとんどが飲酒運転によるものです。そんなに良い物は必要ないけど、やはりたまに乗りたいですね。